すごいね。
――うん、きれい。
こういうの、好きだな。
――僕も。
感謝、しなくちゃ。
――え、誰に?
ATに。
だってAT履いてなかったら普通こんな所までこれないじゃない?
――あはは、確かに。
って、変かな。
――ううん、林檎さんらしい考えだと思うよ
もー。
――もう少ししたら夜になっちゃうけど、もう帰りたい?
ううん、まだ。
ビ ル の 屋 上 に て 、 P M 5 : 3 0 。
都会の夜空、意外と好きよ。
――うん、実は僕も。
星が少なくて空気がよどんでるけど、ネオンとかきれい。
――飛ぶときもちいいしね。
亜紀人君って悩みとか、ある?
――なに、どうしたの急に
あ、話題変えちゃってごめんね。
――うーん、いっこあるかな…
それって深刻?
――うん。少なくとも僕にとっては深刻。
聞いてもいい?
――理解、できるかなあ?
え?
――あのね、僕、消えちゃうかも。
それ、どういう…
――ほら、わかんないでしょ。
あうう、ご、ごめん…勝手に聞いておいて…
――だいじょぶだよ。忘れて?
…………
――どしたの?
亜紀人君、なんかへんだよ…
――うん。知ってる
――リンゴサン。
――どんな結末をむかえたって、僕は。
あなたが今傍に居てくれさえいればそれでいいんだ。その屈託の無い笑顔でさいごまで笑っていて。約束だよ。
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