ゔ―――――、あかん。



体が動かへん。


にしても風邪ひいて寝込むなんてあたしらしくもない…





























「でな、重いダルい気持ち悪いの三拍子がそろってんねん…」

「………そうか」

「あと数日はこっから出られんかも…」



そう弱弱しく、ブツブツとあたしはつぶやく。

熱が、あった。
頭も痛い。気持ち悪い。


一体何が原因なのかとベッドの中でもんもんとしていると、
犬神君が急にスタスタとやって来たのが数分前。
その手にはご丁寧に摩り下ろした林檎の皿があった(なんてやさしさ!)。

そしてなにより不思議なのが、
怒られもどやされもしなかった事。
…今のところは。




「犬神君ありがとう、もうええよ…」

「林檎食ったからあっちへ行けと」

「あのな…そういんじゃ……ホラ、うつっちゃうとアレやん…」



犬神君はそれを聞き、弱りきったあたしを見下し一言。



「………馬鹿も風邪をひく時代なのか」

「なッ!?」



もう怒る…というか突っ込む気力もない。

この後、やっぱりくどくどと説教される訳で。
彼はこのままあたし相手に一方的なお喋りを続けるつもりなのだろう。
眠るのが一番な病人相手に何と容赦の無い事か。


あたしは毛布をぼふんと被り、火照った口をもごもごと動かした。
これは精一杯の悲願な訳であって。



「な―――……頼むから寝かせて…」

「眠いのか」

「眠いっちゅーか…キツいねん今……」



それに助手のあたしはとにかく犬神君まで風邪ひいたらさーと必死に弁解。


あうう、呂律が回らない。
本格的にダルくなってきたらしい。


















「堪忍してや……」



――風邪なんか、きらいだ。





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