「あら、や―――ねえ」
言葉とは裏腹に、全然嫌そうではない母の気だるい声が台所に響いた。
少し気になったので、ようやく風香はソファーから立ち上がる。
「ッしょっと」
台所までのそりと赴いてみると、案の定気だるそうな母の顔が見えた。
「なぁーに、どしたの」
「あら、風香、あのねえ……」
「…うわッ、おいしそー!何、今日煮物?」
「うん。そうなのよ。それでね、困っちゃって」
「何が?……あふッ!あちち…おいひぃー」
熱い里芋を一つだけ摘み食い。
「食うなッつーの。…それでね、こんにゃく無いのよ、こんにゃく」
「はひ?こんにゃく?」
「買い忘れてた」
何だか嫌な予感がして、渋る風香。
「…いいじゃん、もう出来てるんだし…」
「食べたいじゃない」
「えー、いいよー…」
「買って来て。」
ニコリ。
――本気だわ。
こうして風香は不本意ながらも夕飯前に、渋々こんにゃくを買いに行かされるハメになったのだった。
母、強し。
煮物には里芋とこんにゃく。
「……とまあ、こんな訳でして」
溜息を吐くのは、他でもない風香。
「はあ…そんな訳かあ…」
そう気の無い返事をするのは、自宅の玄関に立ち尽くす「小岩井さん」。
「…あのさあ、どういう訳なのか未だに解せないんだけど」
「はい?」
「……風香ちゃん…何でウチに…?」
小岩井氏の頭上に?マークが浮かんでいる様だったので、風香は堂々とこう言ってのけた。
「まあその、こんな時間帯にお邪魔してしまったのは申し訳ないです。
でも、今わざわざスーパーまで買いに行くよりはお隣さんの方が断然早いですし」
「いや、だから……何で?」
「ですから、お宅、こんにゃく屋さんじゃないですか」
「…ハイ?」
小岩井氏の目が点になる。
風香は満面の笑みで、呆然と立ち尽くしたままのお隣さんにズイッと近付き、元気良くこう言うのだった。
「こんにゃく一丁!くださいな!!」
相変わらず妙なロゴがプリントされたTシャツのその下、その年頃にしては大きめの胸がゆさりと揺れて、
小岩井の間近で元に戻ったかと思うと、今度はその間からにゅっと風香のお椀型になった両手が差し出される。
「くださいな♡」
「うっ……」
小岩井は赤面しつつ、何とか口を開く。
「…あのね、風香ちゃん、君は何か勘違いをしているよ」
「?」
何と言ったら良いものか。
その時、考えあぐねる小岩井の後ろから、勢い良く小さな女の子が飛び出してきた。
「お―――!ふーかだー!!」
「あっ、よつばちゃん!こんばんはー」
「こんばんわ!よく来たなー!あがれあがれー!」
常に突発的なよつばに、風香が遠慮する。
「ああ、いいのいいの、今はちょっとこんにゃく買いに来ただけなのよー」
右手を小さく左右に振りながらそう言う風香。
よつばは一瞬ポケッとした後、すぐに聞き返した。
「こんにゃく?」
「うん。……ねっ、小岩井さん、お願いしますー」
「…………」
その後、こんにゃく屋の誤解が解けるまで風香はずっと小岩井氏にこんにゃく一丁を強請っていたとかそうじゃないとか…。
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つーか二人で買いに行けばいいじゃない・・・!こんにゃく屋の誤解は初期で一番ジワジワきたかもしれない。
3巻ぐらいまで読んだ時はジャンボ×風香派だったんですが(笑)
その後某エロパロ保管庫やらエロ同人誌やらで(何故か)大人気なとーちゃん×風香というCPにまんまとハマってしまいました。
今では父風が一番です・・・!
何気にエロいのが良し!!(父風に限ってとーちゃんの淫行を許す!)