「先生、先生ッてば……ねえ、センセ――♡」
ヘラヘラ笑いながら僕の事を、幸せそうに満面の笑みで呼び続ける彼女。
――いやいやいや、明らかに飲みすぎだろう。
「センセも飲んで!飲んで、飲んでぇ♡」
「もう充分飲んでるって…」
「えー?何言ってんの、まだまだイケるでしょぉー!」
彼女はやけにニコニコしながら、もっともっと、と僕の片手のコップにビールを注いでいく。
仕方が無いので、僕はまた飲み始めた。
ぐびぐびぐび。
自棄で一気飲みを終えたとたん、彼女の瞳がぱぁっと輝いたので、僕はドキリとした。
「キャ――♡ 先生が飲んだ、飲んだー!」
「な、何がそんなに可笑しいんだよ…」
心臓が跳ね回る様にドクドクと動いている。
――その瞳が、あまりに彼女の幼少期のそれに似ていたからか。
僕は段々自分の顔が熱くなっていくのをじわじわと感じていた。
「センセ、顔真っ赤」
「……どうやら酔いが回ってきたらしい」
「えへへー」
「…あのさ、そんなに絡まないでよ、ウェダちゃん」
「なぁんでー?」
彼女が僕の片腕に彼女のそれを回したまま、気持ち良さそうに天を仰いだ。
ぐらりと揺れる彼女。
えへへ、と幸せそうな表情で笑っている。
彼女を一目見れば誰にでも解る事だが、きっと今、彼女は完璧にアルコールに頭を支配されているに違いない。
――こうなったら、僕も心底酔ってみるか。
「そんなギューッとされたら僕さぁ……」
「うふふ、なぁーに」
「襲っちゃうかもよぉー?」
先程から二人腰掛けていたベッドに、縺れ合いながら倒れ込む。
と言うより僕が勝手に押し倒したのだが、彼女はべろんべろんに酔っているので危機感の欠片も持っていない。
「や―――ん♡」
全然イヤがってない。
そもそも本気だと考えていないのだろう。
「酔ってる時のウェダちゃんはある意味一番無防備だよねー」
僕は彼女の耳元でそう呟くと、ゆっくりと、覆い被さる様に彼女の上に乗った。
ふと、アルコールで赤らんだ彼女の顔をまじまじと見つめる。
昔と変わらないその大きな瞳には、自分でも驚くほど邪な表情をした僕の顔が映っていた。
「やぁだ、先生やらしー顔」
危機感ゼロのまま、ウェダちゃんもそう言いくすくすと笑った。
僕は、今ではすっかり熟したその豊満な身体に口付けていきながら、おもむろにこう切り出した。
「なんかさぁー、本当変わったよね、君」
「…えー?」
僕を拒むかの様に、酔いどれのままごろんと寝返りを打つウェダちゃん。
いい加減、眠くなってきた様だ。
彼女の意識というか常識というか、人格の様なものが失われているこの状態だが、べろべろの酔っ払いでもやはり本能は残っている。
どうにかこの暑苦しい物体(僕)から逃れようと寝返りを繰り返す彼女。
僕は逃さんとばかりに彼女に引っ付き、やがてウェダちゃんは完全に僕の腕の中に納まった。
しかも僕は全身で彼女の上に圧し掛かっている。
もはや酔い潰れてぐったりとしている彼女は、目を閉じたままぼそぼそと呟く。
「………あつい…」
「んんー?」
「…おもい……もー寝る、センセ」
「そうだねー、寝なきゃねー」
悪酔いしていた僕は、だらりと力の抜けた彼女の片足に手を掛ける。
僕だけが良い気分のまま、彼女のすらりと伸びた生足をくいっと持ち上げ、これから『楽しもう』としたその時。
不意に、ウェダちゃんの両腕が動いた。
その腕は僕の顔まで伸びてきて、頬をかすめ僕の眼鏡を外したかと思うと、そのまま僕の白髪を優しく撫でた。
――その動きがあまりに優しく、子供をあやす様で。
悪酔いから一気に冷めた僕は対応に困り、どうやら寝惚けているらしい彼女をじっと見下ろした。
「また会えて嬉しい、せんせー」
寝言だろうか。
ブリーチで傷んだ僕の頭を撫で続ける彼女。
だが、その時確かに彼女は幸せそうな笑みを浮かべていて。
僕は何だか急に、ウェダちゃんは昔と何一つ変わってないんだとしみじみ思った。
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クラウェダは初期あたりのハラハラドキドキぐあいが良いかなーと・・(イミフ)
やっぱり、出会うか出会わないかぐらいの頃は相当やきもきさせられました。
もういっそあのままマイナーCPでも良かったかも。王道で公式にイチャイチャしてくれるのも嬉しいけど!
今度はベルウェダ大好きなんでベルウェダ・・・書きたいなあ・・orz
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